年金支給が70歳からなどと言われるような時代になり、会社も定年を65歳以上に引き上げる会社も増えるようになった。
しかし、残念だが、それでも、高齢者の貧困問題は解決は難しいと思う。
それは、日本の会社の構造に問題があるからだ。日本の会社というのは、99%が中小企業と言われている。
それも、その内のほとんどが、大企業の下請けだ。
現実問題として、頭脳労働はほとんどなく、あるのは肉体労働ばかり。
プレス作業やNC旋盤、検査など誰でもできる仕事がほとんどになっている。こういう会社に天下りして、60歳ぐらいの人が工場長として入ってきても、全く利益に貢献しない。
高い給料を支払うわりには、意味のない仕事ばかりする。
正直、今の中小企業に必要なのは、安い賃金の高卒ぐらいの若者たちだけだ。60歳以上の給料の高い動けない人間など、雇う余裕など全くないのだ。
だから、会社は、定年を引き上げても、働かせる場所がない。今はまだ少しだけ会社に余裕があるからいいが、これから、どこで、60歳以上の人たちを働かせればいいのか。
これは、大きな社会問題になるはず。
製造業や輸出産業ばかりに熱心に育成ばかりをしたせいで、知識産業が日本経済には全く育っていない。だから、高齢者の定年後の働き口は全くなくなってきている。
その現実を痛感して、今、企業を定年退職した人たちが、独立起業して新しいビジネスを立ち上げる例が多発している。
しかし、これも、全くうまくいかないだろう。
今の若い人たちに向けてのビジネスは、とんでもなく、難しい感性が必要になってきている。
例えば、アダルトコミック。オタク産業の王様といわれているこの産業は電子コミック化され、今では、アダルトコンテンツの中で最も力がある言われるようになっている。
こういう産業に向けて、新しいビジネスを定年後の人たちが展開できるかというとそれは間違いなく不可能だ。
人気作家、師走の翁のヒット作、
ピスはめ!のような学園作品を60歳以上の人たちが理解できるわけがないのだ。
だから、高齢者の格差問題や貧困問題は、これから、日本社会を揺るがすほどに大きな社会問題になるはずだ。