正直に、そして、長時間労働でしっかり仕事をしていても、会社は潰れる時は潰れる。
この10年くらいの間、ニートやフリーターとして働くことがすごく悪いことのように言われる風潮があった。
しかし、リーマンショックの時から、日本の製造業、特に中小企業の倒産をたくさん見てきた感想から言わせてもらうと、汗と涙でがんばっても潰れる時は会社は潰れるから、ニート的な生き方も悪いとはいえないと思う。
実際の例でいうと、ある金型製造の会社では、完全能力給を会社の売りにしていた。
その会社はすごい会社で、まだ、30歳そこそこの男性社員にも、月給で50万円もの給料を払っていた。
ところが、その会社は倒産。
負債総額は、10億円にものぼった。本当にとんでもないことをやってしまったと感じた。
その会社は、今から考えるとへんな会社だった。会長と呼ばれる人物の家が自社工場の隣にあり、大きな家で、どこか知らないメーカーのスポーツカーが置かれていた。
それに、ゴールデンリトルバーを飼っていて、会社の事務員が、15時ごろに必ずその犬を散歩していた。
自分の家の犬の散歩を会社の事務員にしかも、仕事中にさせるとは、今考えるとたわけた会社だったと思う。
そんなことをやっていた会社が、従業員に高い給料を払い続けて、10億円もの負債で倒産したのだから、取り引き先は、激怒したに違いない。
かわいそうなのは、若い社員だ。まだ、20歳そこそこの社員がたくさん働いていた。
彼らの中で、マンションや車を買ってローンを払っていた人はいったい今どうしているのだろう。
会社が倒産して、ローンが払えなくなるなんて夢にも思わなかったはずだ。
だから、正社員的な働き方がニートやフリーターよりも、絶対にいいとは言い切れないと思う。